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収穫目前のプリオラート、エルモラール村から。
醸造家ロジェール・グリフォイ・デクララ

カタルーニャ州タラゴナ県プリオラート エルモラール村

Deep Spain は、これからディープなスペインをより近くに感じていただくために、「スペインのつくり手の言葉」をご紹介していきます。シリーズ第一弾は、収穫がいよいよ始まる、プリオラート・エルモラール村から、オーナー醸造家、そしてエルモラール村の村長でもある、ロジェール・グリフォイ・デクララの言葉をお届けします。

グリフォイ・デクララ五代目オーナー醸造家
ロジェール・グリフォイ・デクララと、ワイナリー犬のメルロ・ジュニア

2021年のブドウの生育について

2021年は、1月末にスペイン各地を襲った記録的な大雪を皮切りに、一年を通して例年より涼しい年になりました。雪は私たちの生活にかなりの被害を及ぼしましたが、ずっと水不足に喘いでいたプリオラートの大地や植物にとっては恵みの雪となりました。

ここ数年、6月下旬から猛暑に襲われたり、暑さのため肥料が自然発火して山火事が起きたりと、暑い年が多かったのですが、今年は8月の3週間だけ暑い日が続いた以外は、過ごしやすい夏になりました。

長い間、ロックダウンや厳しい規制が敷かれていた2020年は、乾燥したプリオラートにしては雨が多かったため、ベト病に苦しめられ、ブドウの生産量は30%以上激減しましたが、今年は例年より涼しく好天に恵まれたおかげでブドウは健やかに育ち、とても良い状態です。

年間降水量が200mmと、雨が少ないエルモラール村ですが、収穫を間近に控えた先週、大雨に襲われ心配しましたが、ブドウたちが健康に育ってくれているお陰で、問題なく持ちこたえてくれました。

いよいよ収穫までカウントダウンが始まりましたが、ブドウは健やかに生育し、凝縮感はもちろん酸も保たれていて、今年は特に期待できると思います!

プリオラートの代表的な土着品種 ガルナッチャ・ブランカ

オーガニックワインについて、方針の変化

グリフォイ・デクララは、プリオラートのワイナリーで初めて、農薬を使わずに害虫を散らす”セクシャル・コンフュージョン※1“を導入するなど、数十年前からサスティナブルな農業を行ってきました。

特にプリオラートは、急斜面が特徴で、機械化も難しいほどの険しい産地なので、除草剤や、農薬を使わない農業はものすごい 重労働ですが、代々受け継いだブドウ畑を化学的な薬品で汚染させないよう、自然に最大限の敬意を払ってブドウを育てています。

「こんなに苦労して有機栽培をしているのに、なぜオーガニックの認証を取らないの?」

とよく聞かれましたが、40カ国ちかくの国に輸出する中で、世界のどの国の法律にも適用するオーガニックワインの認証がなかったため、今までは敢えて取らない方針できました。

けれども、ここ最近の世界的なビオワイン人気で、実際には有機栽培をしていない生産者が、”ビオワイン”を名乗っている、という事例を耳にするようになりました。そのような生産者と差別化を図るためにも、マウンテンワインズのラインナップのワインは、ヴィーガンワイン、そしてオーガニックワインの認証を取ることにしました。

※1: 畑から害虫(蝶)を追い出すのに使われる、オーガニックの害虫対策。蝶が畑で卵を産むとブドウに害を与えるため、メスのフェロモンが含有された赤いリボンをブドウの木3株ごとに結ぶことで、オスを撹乱させ、殺さず畑から退治する。毎年春に結び変える。

エルゴス・ブラン (ガルナッチャブランカ100%)
白バラ、ライチ、火打石を思わせるしっかりとしたブーケ。まろやかで豊かなフレーバーとミネラルを感じる長い余韻。フレッシュさとエレガントさを併せ持ち、複雑さを備えたワイン

エルゴス・ネグレ (ガルナッチャ100%

愛犬をデザインした愛嬌あるラベル。フレッシュ感とバランスの良さが心地よくカタルーニャの味わいを気軽に楽しめる一本。(テイスティングコメントは輸入元飯田様のサイトより)

スペインのヴィーガン認証

CERTIFICACIÓN VEGANA(CCL Certificación)

マウンテンワインズのエルゴス赤白共に、2020年のヴィンテージからヴィーガンワインに認証されました。それに伴い、今後は下のヴィーガンワイン認証マークを裏ラベルに記載することができます。

ヴィーガンワインとは

原料はもちろん製造から製品化に至るまで、一貫して動物性のものを使用していないワインのこと。

ほとんどのワインは瓶詰め前に清澄をして、にごり成分などを取り除きます。その清澄に使用する素材として、卵白、牛乳たんぱく質、豚や牛のゼラチンなど、動物性の清澄剤を使用することがあります。

グリフォイ・デクララは、エンドウ豆が原料の植物性タンパク質を用いて清澄しているので、ヴィーガンワインと言えます。

CCPAE-カタルーニャ州有機農業統制委員会

カタルーニャ州の有機食品を監査および認証する、カタルーニャ州政府が司る、有機食品認定機関です。CCPAEは、欧州連合によって毎年発行される公的機関および管理機関(ユーロリーフ※)のリストに含まれています。

CCPAE

※EUの有機農業規則に従って生産された農産物であることを証明するマーク。欧州旗の象徴でもある12個の星、葉の形、緑色の「ユーロリーフ」は、欧州と自然の融合をイメージ。

トッサルスセレクシオ,トッサルス・セレクシオ・エスペシアル,
トッサルス・エクスプレシオンズ

マウンテンワインズのTossals シリーズは、只今CCPAEのオーガニックワイン認証が降りるまでのプロセス期間中です。2020ヴィンテージから、裏ラベルに認証マークを記載できるようになる予定です。

2021年、1月末にエルモラール村を襲った大雪。写真は、
グリフォイ・デクララ、ガルナッチャの畑から眺めるエルモラール村の風景。

エルモラールの村長として、2021年を振り返って

2021年は、年明け早々、大雪のため道路が遮断され、一週間以上村が孤立してしまった上に、同じタイミングで停電になり、村人の命に関わる最大のピンチに見舞われました。極寒の中、電気がない状態はとても危険なため、深夜に発電機を手配し、村役場の職員と共に、不眠不休で復旧作業を業したのは忘れられない思い出です。

高齢者が大半のエルモラール村は、雪の中転倒が相次いだので、お年寄りの代わりに職員が食料を家まで届けるなど、きめ細やかなサポートのもと、COCID-19にも最大限の注意を払い、なんとか乗り越えることができました。

従来なら人口300人の過疎化の村なのですが、今年はCovid-19の影響のため、安全な村で過ごそうという、都会の人たちがエルモラールに戻ってきてくれ、夏のピーク時には1000人近くの人が村の暮らしを味わいました。

日常が戻ったときにも、エルモラール村が農業で活気あふれ、過疎化や高齢化を克服する未来を目標に、これからもワインやオリーブ造りと共に、エルモラール村を盛り上げていこうと思います。

エルモラール村長ロジェール、ロックダウン時の対策記事(2020年3月)
スペインの現状と、高齢化の村エルモラールのCOVID-19対策について。

プリオラートのワイナリー「Grifoll Declara /グリフォイ・デクララ」について

Ikumi Harada

大学卒業後、広告代理店でデザイナーとして勤務後バルセロナへ。スペインワインに恋をして、気がつけばスペイン在住歴トータル13年に。ライフワークは「日本とスペインを繋ぐ架け橋」。大好きなテーマはスペインワインと健康。イヌ好き。WSET ® Level 3、スペインワインと食協会・共同代表。山口県出身。

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